大阪地方裁判所 昭和38年(ワ)4253号 判決
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〔判決理由〕一、被告林田運輸株式会社に対する請求について。
(一) 被告会社は使用者の責任があり、免責事由は認められない。
本件事故について訴外岡は無免許酩酊の上、時速約五〇キロで現場にさしかかつた際、前方注意を怠り、中心線を右にこえて運転した過失がある。
ところで訴外岡は貨物自動車による運送業をいとなむ被告会社に運転助手として勤務しガレージに隣接した会社の寮に住込んでいたが左のような事実があつた。
(イ) 訴外岡は被告会社のガレージにおける貨物自動車の出し入れ、洗車のためなどに当時まで五、六〇回も運転していたし、構外へ運転の練習に出たこともある。
(ロ) 当時まで被告会社の自動車運行管理は極めてルーズで形式的な注意を運転手に与えていたにすぎず、車のキイも運転手まかせで放置していた。本件事故車は当夜キイをつけ放しでガレージ内にありいつでも勝手に運転して出られる状態であつた。
(ハ) 当夜、二二日午後一二時頃、訴外岡が事故車<編註、被告会社所有の、いすず五五年型貨物自動車>を持出した時、同僚の大村が「おこられるぞ」と注意したが、そのまま、運転して出た。
右のような事実関係では無断運転とはいうものの、自動車運行を中心とする被告会社の事業の支配内における職務に密接な関連のある運転行為というべく、かかる場合には被告会社は使用者として民法第七一五条第一項による損害賠償責任を負わねばならない。そして右事実から免責事由は認められない。
(資料<省略>)
(二) 損害発生
受損車<編註、ベンツ六〇年三〇〇SL型>は当時、時価金四〇〇万円であり、事故後の評価額は金五〇万円と認める。従つて原告は所有者としてその差額金三五〇万円の損害を蒙つたものである。(資料、<省略>)<中略>
二、被告水野に対する請求について。
(一) 被告水野には民法七〇九条による不法行為責任がある。
すなわち被告水野は訴外池田乙次を介して原告から受損車を訴外人某に売却すべく、斡旋方依頼され某ガレージに保管中、その委任の範囲を逸脱して深夜遊興のため交通頻繁な繁華街に持ち出し運転中事故発生をみたもので、現在のような道路交通状況のもとでは右事実を以てしてすでに受任者としての保管に過失あるというべし、訴外岡の運転上の過失が重大とはいえ、本件事故発生によつて受損車に与えた損害につき被告水野は原告に対し不法行為責任を負わねばならない。
(資料、<省略>)(舟本信光)